飛行機代が2倍に! 燃油サーチャージ料金

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こんな経験をしたことはありませんか。

旅行会社の広告宣伝には、格安旅行ツアーのうたい文句が紙面いっぱいを埋め尽くしています。成田発4日間で39,800円。息せき切って旅行会社の窓口に飛び込んで、あるいは、早速掛けた電話口で、空席状況を尋ねると、「まだ大丈夫とのこと」。そそくさと、話を進めていくと、あるところで、「おやっ」と思う。そうです。

燃油サーチャージで、往復21,000円が別途かかるとのこと。確かに、旅行会社の広告やパンフレットに小さく書かれた文字には、「別途燃油サーチャージをお支払いいただきます。」とある。旅行代に近い金額をさらに請求されてはたまらない。残念ながら、手続きはそこまで旅行計画はふいに。

燃油サーチャージとは

燃油サーチャージ。それは、いったい何なのでしょうか。

燃油サーチャージは「燃油特別付加運賃」とも言われ、燃油価格の高騰に伴って航空会社が自助努力で賄えなくなった燃油の値上がり分を、旅客から別途徴収する「追加運賃」のことをいいます。

燃油価格が一定水準に戻るまでの、期限を切った措置として、2005年1月に導入されました。サーチャージ額は現在、3カ月ごとに見直しがなされていて、各航空会社が直近3カ月間のシンガポールケロシン市況価格をベースに区間ごとに金額を決め、それぞれの国の政府の認可を受け、決定しています。つまり、燃油価格が上下によってサーチャージ額が上下するということになるのです。

 

また、シンガポールケロシン市況価格が3カ月平均して1バレル45米ドルを下回った場合には、燃油サーチャージは廃止されることになっています。しかし、現況では下がるどころか、2008年の一時期には、シンガポールケロシンは1バレル170米ドルを超える日も続出するなど、これまでにない水準に高騰したときもありました。

そして、航空各社は2008年7月からの燃油サーチャージを相次いで値上げに踏み切りました。飛行機をよく使う人には記憶に新しいことだと思います。向かう国によって異なりますが、燃油サーチャージを導入した当初の2005年2月では、北アメリカまでの往復が5,000円ほどでしたが、2008年の夏では、60,000円近いサーチャージになりました。これでは、飛行機代を2倍払うのと変わりません。2007年1月〜2008年5月までの1バレル辺りの米ドル価格の推移を調べてみると、2007年1月時点では1バレル69.72米ドルだった価格が2008年5月には158.69米ドルと、実に2倍以上に上がっています。原油の高騰は、飛行機代を2倍払わないといけない異常事態を招来させることさえあるのです。なお、燃油サーチャージは航空会社により金額が異なります。

燃油サーチャージの原因とは

燃油サーチャージは、本来、航空会社が旅行客から徴収する追加運賃ですが、実際には、上記の例で分かるように、航空券を発行する際に旅行会社が航空会社に代り、徴収業務を代行しています。それは、当然なことで、もし旅行会社の窓口で旅行代を支払い、航空会社の窓口で、別途、燃油サーチャージを支払うとしたら、飛行機の利用手続きが煩瑣になるからです。

 

では、ここまで燃油サーチャージが極端になってきた原因は一体何なのでしょうか。副次的な原因は数多くありますが、主たる原因は、戦争や中東の政情不安です。現在、自家用車を日常頻繁に使っていると、ガソリン代の高さが家計に響いてくることを感じることがあるでしょう。しかし、原油とガソリンの価格差以上に、原油と燃油の価格差は大きく広がっているのです。

1991年の湾岸戦争以前に高騰した燃油価格は、戦後、価格がある程度安定していた時期もありました。しかし、その後勃発した9.11の北米テロ事件やイラク戦争以降は、安定した水準に戻ったことは一度もありません。それどころか、1996年からは、さらに価格変動が激しくなっています。

 

このような燃油価格の不安定な状況は、否応なく航空会社のコストを増大させることになり、結局、自助努力ではどうしようもなくなった各航空会社が燃油価格の一部を乗客に負担してもらおうことに決定したのです。ここに、運賃とは別に徴収する、サーチャージ方式の導入を1997年にIATA(国際航空運送協会)が認可することとなり、2001年に燃油サーチャージ(燃油特別付加運賃)が導入されることとなりました。

燃油サーチャージの運賃の決定方法とは

上記でも触れたところですが、もう少し詳しく燃油サーチャージの運賃額の決定方法をみてみましょう。まず、燃油サーチャージ額は、原則として四半期ごとに見直しがなされます。3ヶ月間は、その間に燃油価格の変動があったとしても、サーチャージ額は原則変更されない、ということです。

3ヶ月経過後は、改定時点での直近3ヶ月間のシンガポールケロシン市況価格の平均を使って、燃油サーチャージ額の改訂基準となる燃油価格が決定されます。そして、シンガポールケロシン市況価格が3ヶ月間平均して1バレル当たり45アメリカドルを下回った場合には、サーチャージ運賃は廃止となります。

今後の動向

さて、高騰の続く燃油サーチャージですが、今後どのような方向に動いていくのでしょうか。

原油高から始まる世界経済の不安定は、世界各地で異常な物価高や株価の下落、円高などを通して、現在、予断を許さない状況にあるといえます。中東の政情不安定が続く限り、原油価格の安定は、今後しばらくは期待できないと思われます。ただし、アメリカ大統領選挙の行方がそれを占う1つの節目となることは確実視してよいのではないでしょうか。

 

現在、日本を含む先進国においては、景気の冷え込みが各国の経済事情に暗い陰を落としています。そして、それを打開する有効な手だてがいまだ打てない状況下で、輸出企業、特に原油高が直接的あるいは間接的な利害をもたらすような企業を多く抱え、一方で、原材料の多くを輸入に頼る、日本のような国では、一国の国内の経済政策だけでは、抜本的な解決にはならないでしょう。

燃油、ガソリン価格の高騰を、この影響下にある企業群が自助努力で凌ぐことにも限界があり、JALやANAなど各航空会社が、止むに止まれず導入した、今回の燃油サーチャージのような消費者泣かせの消極的対策は、早晩、形を変えて消費者の日常生活全般に暗い陰を落とす可能性を秘めています。私たち消費者は、今回の燃油サーチャージの痛みを通して、一人一人、個人の身近な生活の中でできることを、将来に備えてやる心づもりをしておくことがとりわけ大切になってくるでしょう。


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